学びの菌糸(キノコ)

 キノコはスゴイ! 私のことではありません。ここで登場するのは梅雨に出てくるキノコです。漢字で書くと茸、木の子が語源のようです。菌糸と書いたりすることからも分かる通り菌です。平たく言うとカビです。キノコは傘を作ったり作らなかったりややこしいのですが、研究発表ではありませんので、ここではキノコと菌とをアバウトに使い分けます。

 このキノコがデカイ! アメリカの研究者が調べたら、数キロ先まで同じ遺伝子の菌糸が地中に広がっていたというのですから、こりゃあ世界で一番デカイ生き物です。こんなことを調べるのは大学教授の役割です。サラリーマンが片手間にできるスケールではありません。

 キノコは食べても美味しいですし、食物繊維が多いのでお腹の具合がよくなったりもします。干して料理に使えば素晴らしくいい出汁がとれます。森の新陳代謝もキノコがないとできません。倒れた木が腐らず、土に還らなくなってしまいます。

 さらに、麹菌がいなければ、味噌も醤油も酒もありません。朝ごはんの食卓に納豆が上がりません。納豆菌です。麹は日本の国菌です。私の首はひねるとコッキンと音がします。ちなみに、国鳥はキジ、国蝶はオオムラサキです。国花は決まっていないそうですが、桜や菊は人々から愛されている花です。こう考えると、キノコはスゴイ!と、尊敬してしまいます。人類が滅びても、キノコは永遠に不滅です。

 大学でキノコや菌のことを学ぼうとすると、農学部や生命科学部などの生物・バイオ関係でしょう。薬学にも関係する研究があるかもしれません。栄養学、醸造学、森林科学などにも興味が広がります。こうやって連想していくと、大学で学びたいことはごまんとあります。

 私は、キノコの本を読んでいるうちに無性にクラゲのことが愛しくなり、書店に走ったことがあります。クラゲは近年大人気で、ストレスでいっぱいの社会人の心を癒やし、老若男女問わず愛されています。水族館に行きクラゲの水槽の前にいると時間を忘れてしまいます。こうした人間の心の動きについて考察するのは心理学、行動科学、社会学などでしょう。

 クラゲの研究は海洋生物学ですが、ニッチな世界なので研究者から手繰っていくのがいいかもしれません。ノーベル化学賞の下村脩先生は、クラゲの研究が後のノーベル賞受賞につながっています。山形県鶴岡市には世界一のクラゲ水族館があり、展示種類数の多さでギネスです。

 こうしてみると、若い人たちの可能性の裾野の広さには目を見張るものがあり羨ましい限りです。皆さんが将来どういう職業に就くか、大学進学はその選択肢を増やす事なのです。  私は、今までに飲んだお酒の量でノーメル賞を受賞するかもしれません。

by MATSUTANI