3分の1
6月5日の厚生労働省の発表に、いまさらながらに驚いた。2019年の出生数が86.5万人だという。最多は1949年、団塊の世代の249万人です。次のピークが1973年、団塊の世代の子供たちで209万人。大雑把に言うと、2019年に生まれた子供は、団塊の世代の3分の1しかいないということです。
なんでこれに驚いたのかというと、18年後の大学受験を心配したからです。今から対策を考えておかなければ、大学経営が成り立たなくなるからです。気の長(早)い奴だとお思いになるかもしれませんが、光陰矢の如し18年なんか直ぐに経ちます。以前、大学は大失敗をしています。何もしなくても受験生が大量に来る時代が長く続き、受験生が減少する事が分かっていながら、何の対策もしなかったのです。それどころか、大学をどんどん増やし、学部を増設し、入学定員は増やすはで、もうやりたい放題です。要するに浮かれて誰も先のことを考えていなかったのです。気がついたら受験生が来なくなり、定員割れ。普通の会社なら潰れるかリストラです。
ここで、このやりたい放題を「数字で」見てみることにしましょう。この程度の数字を嫌がっていると、大学の勉強について来ることが出来ませんよ。
まず、増えに増えた大学数の比較です。団塊の世代が受験し出すのが1965年(昭和40年)で、その時の大学数は317大学、内訳は国立73,公立35,私立209です。そして現在、2019年の大学数は786大学で、国立86,公立93,私立607です。なんと公立も私立大学もほぼ3倍に増えています。でも、大学が沢山あるのは悪いことではありません。数の上では「学びたいと思った人」が大学の教育を受けることが出来るからです。
ここで、出生数86.5万人の登場です。大学の数が3倍近くも増加しているのに、18歳人口が3分の1に減ってしまったのです。当然、定員を満たすことが出来ない大学が出て来ます。こうなると「選抜型の一般入試」をやる意味がありません。
もう少し我慢してください。2019年の18歳人口は約118万人で、大学受験者数は約68万人です。現在、全大学の入学定員の合計は70万から80万人ほどだといわれています(実は、調べても正確な数が分からない)。定員より入学する学生の方が少ないのです。大学によって状況は異なりますが、深刻な問題です。だから、従来の大学入試のやり方である「多くの志願者から選抜する方法」を変えようとしているのです。
今、大学を目指している諸君は「こんな大学の事情を聞かされても・・」と思うかもしれませんが、選抜の指標である偏差値なぞに振り回されずに、自信を持って大学を目指してください。目的を明確にして努力すれば大学に入れる時代になったのですから。
私ですか。この原稿を書いていて、頭が痛くなってしまいました。
by MATSUTANI