趣味と進学の関係

 鉄道好きは少々やっかいで、乗り鉄、撮り鉄、最近は飲み鉄などというのもあり、鉄道小説マニアや廃線マニアもいます。人それぞれ、多様で定まりません。私は模型とジオラマ作りで鉄道関連の本や雑誌も増えています。それらがたまりにたまって狭い部屋はごちゃごちゃ。何なのでしょう、この男の収集癖というのは。女性は男のこういう状態を見て「こどもみたい」などと言いますが、言われた方もまんざらでもなく、七面倒臭い説明を長々として嫌がられます。

 今回は、「趣味を大学進学の理由にしないほうがいい」です。

 音楽や絵画、スポーツなどに秀でていて、その能力を大学で高めようとする高校生は沢山いると思います。こうした高校生は、選手としてスカウトされたり、学力だけではなく特定の能力も評価される推薦入試やAO入試で第一志望の大学に進学するチャンスが開けています。

 残念ながら、秀でた能力を持ち合わせない高校生が大学進学をするには「勉強するしかない」のです。学力による入試突破です。私はこの部類でした。運動能力なし、音痴、絵は下手、当然モテない。いいところなんかひとつもない、そう思っていました。

 私が育った当時の東京郊外にはまだ自然が残っていて、田んぼや畑があり、きれいな小川も流れていました。雑木林には鳥や虫たちがいました。四季折々の姿を見せる自然は、私に多くのことを与えてくれました。私の趣味の原点は、この育った環境にあるような気がしています。草花を育てたり、雑木林を散策したり、鉄道ジオラマを制作したりするのは、その頃の風景の記憶を追い求めているのかもしれません。

 趣味を進学の理由にすると将来、趣味が「仕事」になってしまいます。趣味で医者にはなれませんが、趣味を持ったお医者さんは沢山います。本職以外の趣味を持つプロスポーツ選手も沢山います。長い間に辛く嫌なことが多々ある人生ですが、そんな時に趣味は心を癒やしてくれます。趣味は趣味として残しておいたほうが、楽しく豊かな人生を送ることが出来るのです。

 私ですか。原稿を書くという仕事が趣味のひとつになってしまいました。えっ、話が矛盾している? 人生なんてそんなもんですよ。

by MATSUTANI