小論文第8回 「超高齢社会」の問題点

 高齢化は「少子高齢化」として、少子化とセットで論じられることの多いテーマです。「少子高齢化」とは、子どもの数が減る少子化と、高齢者が増える高齢化が同時に起きる現象をいいます。日本では1990年代から社会への影響が問題視されてきました。

 戦後といわれる1950年代の日本人の平均寿命は男女とも50歳代前半でしたが、医療技術の発達や食生活の改善もあり、現在ではそれよりも20歳以上延びています。65歳以上の老年人口が総人口に占める割合を「高齢化率」といいます。そして、高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「化」が取れて「高齢社会」、さらに21%を超える社会を「超高齢社会」といいます。日本は2007年(平成19年)に21.5%となり、とうとう超高齢社会に突入してしまいました。このままいくとと、2025年には、高齢化率30.5%になると推定されています。

 高齢化率の上昇は平均寿命が延びている証で、それ自体はおめでたいことなのですが、これが少子化と組み合わさると、これからの日本にとって大きな問題となってきます。

 まず経済への影響が考えられます。少子化によって働く世代の人口が減れば、企業は人手不足になり生産活動が滞ります。そして、消費が活発な若い世代の人口が減るわけですから、売り上げも落ちて経済成長率は低下します。また、介護保険や医療保険、年金など、社会保障の費用は働く世代が負担する税金や保険料で大半をまかなっているのですが、高齢者が増える一方で、支え手である若年層が減るとそういった社会保障制度の運用にも支障が出てきます。

 高齢者1人に対する生産年齢人口(15~64歳)は、2000年には3.6人でした。それが2025年には1.8人に、2050年には1.2人になると予測されています。つまり、かつては1人のお年寄りを働く世代の人たち3~4人で支えていたのですが、遠からず、若者1人が1人のお年寄りを支えなければならない時代が来るということです。少子高齢化問題は、文字通り日本という国の存立基盤そのものを揺るがす大問題なのです。

 超高齢社会対策として国も手をこまねいているわけではありません。2012年には「高齢者雇用安定法」が改正されて、定年に達した従業員の希望者全員を65歳まで雇用することが義務づけられました。労働力人口(15歳以上のうち休業者を含む就業者と失業者の合計)が減少する中、定年延長や高齢者の再雇用が進めば、その豊富な知識と経験を活かして社会の支え手になることでしょう。また、就労機会の確保は高齢者の健康維持や生きがいにもつながるものと期待されます。少子高齢化問題を解決するカギは、女性の社会参加とともに高齢者の活用にあるのです。

 どの国も経験したことのないスピードで進む日本の「高齢化」は、私たち一人ひとりが考えていかなければならない問題なのです。

by KAITOU