小論文第1回 小論文での『思う』は禁句

 平成元年度の大学入試も終盤となりました。この時期、国公立大学二次試験に向けて小論文対策に余念のない受験生もいることでしょうね。

 高校生の書いた小論文を拝見する時しばしば感じるのですが、文末を「と思う。」とするものがとても多いことです。はなはだしいのは、六〇〇字ほどの文章に五つ、六つと見受けられるものもあります。しかし、実は、客観的な表現を要求される小論文では、「思う」という言葉は出来るだけ使用を避けるべき表現なのです。

 「思ったことを書くのが作文、考えたことを書くのが小論文」といわれます。「思う」と「考える」はいずれも「思考する」という意味の言葉なのですが、その意味するニュアンスが異なります。

  • 思う=主観的・心情的思考→作文
  • 考える=客観的・論理的思考→小論文

 「思う」という言葉は主観的・心情的な思考を表します。例えば、「お母さんのことを思う」といった場合の「思う」は、お母さんを恋しく思ったり心配したりすることを表します。心の中に自然と湧き上がる、自分の意思ではコントロールできないような感情的思考です。一方、「お母さんのことを考える」という場合の「考える」は、客観的・論理的な思考ですから、お母さんの性格や置かれている状況などについて分析的に思いを巡らしたりすることを表します。それは「思う」とは違って、自分の意思でコントロールできる思考なのです。

 つまり、「思ったことを書くのが作文」というのは、「思う」という言葉に代表されるように主観的に書いて良いのが作文であり、「考えたことを書くのが小論文」とは、客観的に書かなければならないのが小論文なのだということなのです。

 したがって、「思う」のような情緒的な言葉は作文の場合には自由に用いて良いのですが、論理性を追求する小論文には用いないようにします。ところが、この「小論文は客観的に書く」ということを理解できていない高校生が少なくないのです。

 では、小論文としてどうすれば客観的な文章を綴ることが出来るのでしょうか。ポイントはいくつかあるのですが、まずは、次の3点に注意することから始めましょう。それだけでも、あなたの書く文章はより客観的になっていくはずです。

①文体は常体(だ・である調)を用いる。

②「思う」や、「好き」「きれい」「頑張る」などの個人の感情を表す表現は用いない。

③婉曲表現や体言止めや倒置法、などの修辞法は避ける。

by KAITO