入学おめでとうございます

 4月を迎えた大学キャンパスは新入生で活気に満ちあふれるのですが、今年は閑散としています。言うまでもありませんが、全世界に蔓延する感染症のためです。生徒を送り出した高等学校も受け入れた大学も素直に「入学おめでとう」と言えなくなってしまいました。そして大学は、キャンパスに来ることが出来ない学生たちをどうやってサポートするか、頭を悩ませていることと思います。

 なかでも困っているのが新入生への対応ではないでしょうか。通常ですと入学式の後に「これから大学でどうやって学び、学生生活を送っていくか」を指導するオリエンテーション(ガイダンス)を行うのですが、それが出来ません。2年生以上はパソコンを使った遠隔授業を行うこともできますが、新入生はそうもいきません。右も左も分からずに不安でいっぱいなのではないでしょうか。

 でも、大学に行くことが出来なくてもやっておくことはあります。時間がたっぷりあるいい機会です、よく考えてみましょう。

 まず「あなたは合格した大学に何の目的で入学したのでしょうか?」

 まさか「なんとなく」とか「皆が進学するから」「第一志望に合格しなかったから」ではないでしょうね。大学で指導をしていると、少なからずこういう学生がいることに驚かされますし、「先生、何をしたらいいですか?」などと言ってくる強者もいます。本来大学は高校までのように基礎学力を身に付けるける所ではありません。自分が興味を持ったジャンルについてより深く学ぶ所です。学部・学科はそのためにあるのです。「なんとなく入学」の人は、自分が入学した学部・学科で「何を学べるのか」「何をしてみたいのか」を考えておいてください。

「私は明確な目的をもって入学しました」という頼もしい学生諸君は、入試にチャレンジするときに使った「大学案内」を読み直してください。そこには「大学の教育の理念や姿勢」「学部でどういう教育をするのか」など大切なことが書かれています。受験の時とは違った受け取り方が出来るはずです。

 そして、パソコンがある人は、大学のホームページにアクセスして「シラバス」(学部・学科でどのような授業があるかを具体的に書いたもの)を見てください。何が何だかわからないかもしれませんが、「こんな内容の授業があるんだ」くらいでいいですから眺めておくと後で役に立つはずです。大学は高校までと違って「自分で時間割を作る」のですから。

 少々脅かせてしまったかもしれませんが、心配はいりません。大学はあなたをいろいろな形できちんと指導しますので安心してください。

「入学おめでとうございます」と言える日が一日も早く来ることを願っています。

by MATSUTANI