小論文第6回 「ら抜き言葉」に注意
「ら抜き言葉」とは、本来「食べられる」「見られる」「寝られる」のように表記すべき言葉を「食べれる」「見れる」「寝れる」と「ら」が抜け落ちた形で表記する言葉を言います。
文化庁が発表した「国語に関する世論調査」(2015年)によると、ら抜き言葉を使う人が多数派になったとあります。テレビを見ていてもタレントの発言などではら抜き言葉が普通に使われています。しかし、その発言がテロップで流れるのを見ると、「ら」が入れられています。書き言葉としては、ら抜き言葉はまだ市民権を得ていないということなのでしょう。ら抜き言葉を嫌う人も少なくありません。日本語として美しくない、言葉の乱れだ、と言う人もいます。年齢が高いほどその傾向にあるようです。みなさんの答案を採点する大学の先生方はお年寄りが多いことを考えれば、ら抜き言葉は使わないほうがよいということになります。
ら抜き言葉は、「受身・可能・自発・尊敬」の助動詞「れる」「られる」が何活用の動詞に接続するかという問題です。「れる」と「られる」は、意味は同じですが、それぞれ接続する動詞の活用の種類が異なっているのです。
・「上一段/下一段/カ変」の動詞には「られる」が接続する。
・「五段/サ変」の動詞には「れる」が接続する。
この接続を覚えておけば問題ないのですが、活用の種類が見分けられないという人は、ら抜き言葉が問題になるのは「可能」の働きのときですから、「れる」「られる」を使わずに「食べることができる・できない」のように書き換えてしまってもいいでしょう。
言葉は時代とともに変わっていくものですから、30年後になるのか50年後になるのか分かりませんが、いずれら抜き言葉も市民権を得て、文法書も書き換えられるときが来るでしょう。それまでは、ら抜き言葉の使用は避けるようにしましょう。
by KAITOU