小論文第5回 小論文に正解はあるのか?
前回のブログ、小論文第4回「救急車 もう限界です」を読んだ高校生から質問が寄せられました。
「『救急車を有料化することに対して、あなたはどう考えますか。』というこの問いに答えるのはけっこう難しいと思いました。初歩的な質問で恥ずかしいのですが、小論文に正解はあるのでしょうか。もし正解はなくて、存在するのが解答例だとすると、採点はどうするのでしょうか。」
小論文に正解はあるのか? という質問、決して初歩的な質問なんかではなく、永遠の命題ですね。質問者のいう正解が、単一の客観的な答という意味ならば、「正解はない」と思います。私の講演でも高校生たちには「客観的な正解はありません」と話しています。
「救急車の有料化」問題は、実に小論文的な発問です。小論文では、非社会的な主張でない限り「To be」で答えようと、「Not to be」で答えようと、そのこと自体は評価の対象ではありません。賛成であっても反対であっても、自分の主張に添って読み手をどう納得させられるか、あくまでもその論理性を評価されるのが小論文だと思います。それ故に感情的な表現を用いてはならないとされるのでしょう。
正解はない解答をどう評価するのかという疑問も悩ましい問題ですが、小論文は構築された論理をみるものだとの考え方に立てば、採点に関しては(ある程度でしょうが)客観的に評価することも可能だと思います。「形」がかなり重視されるという見方です。近年は小論文を点数化するという大学が少なくありませんし、主観を排するためにけっこう細かい基準を設けて採点に客観性を担保しようしているところもあるようです。
いずれにしても、小論文の採点がどのように行われるのか、採点基準はどのようなものなのかが公表されていないのが、受験生にとっては何とも悩ましいところです。
by KAITO